サイバーレジリエンス(さいばーれじりえんす)
最終更新:2026/4/19
サイバーレジリエンスは、サイバー攻撃やシステム障害といった脅威に際し、組織が迅速に回復して業務の継続性とサービスの健全性を維持するための能力である。
別名・同義語 サイバー強靭性サイバー耐性
ポイント
REASON:
概要
サイバーレジリエンスとは、情報システムやネットワークがサイバー攻撃や重大なシステム障害を受けた際、その影響を最小限に抑え、迅速に機能を回復し、通常業務を継続する包括的な能力を指す。従来のセキュリティ対策が「攻撃を侵入させないこと(防御)」に主眼を置いていたのに対し、サイバーレジリエンスは「侵入や障害は起こり得る」という前提に立ち、システム停止のリスクを管理する戦略的なアプローチである。
本概念は単なるIT技術の問題ではなく、組織のガバナンス、リスク管理、事業継続計画(BCP)と不可分な経営課題として扱われる。技術的な冗長化だけでなく、人、プロセス、テクノロジーの三要素を統合し、変化する脅威環境に適応しながらビジネス価値を保護することが求められる。
主な特徴・機能
- 攻撃検知と迅速な封じ込め機能による被害の極小化
- システムの冗長化およびバックアップの健全性維持
- 被害発生時における組織的な意思決定と復旧プロセスの自動化
- 脅威インテリジェンスを活用した、学習と事後改善のサイクル
- 供給網(サプライチェーン)全体におけるリスク耐性の確保
歴史・背景
サイバーレジリエンスの概念は、2010年代以降、ランサムウェア攻撃の激化や標的型攻撃の巧妙化を背景に急速に注目を集めた。従来の境界防御モデル(ペリメータセキュリティ)が、クラウド化の進展やテレワークの普及により限界を迎えたことで、ゼロトラストモデルと並び、現代のデジタル環境における必要不可欠な防衛戦略として確立された。現在では、各国の政府機関や国際標準化団体が、重要インフラの保護を目的としてガイドラインを策定している。
社会的影響・応用事例
- 金融インフラ:オンラインバンキングにおいて、サイバー攻撃で障害が発生しても、短時間でバックアップ系へ切り替え、送金決済を停滞させない復旧体制の構築。
- 製造業:工場内の制御システム(OT)に対するサイバー攻撃に対し、サプライチェーン全体で被害の拡散を防ぎつつ、生産ラインを段階的に再起動するBCPの運用。
- 公的行政サービス:マイナンバー関連システム等の重要プラットフォームにおいて、外部脅威によるダウンタイムを最小化し、市民生活への影響を抑えるための多重防護と早期復旧策。
関連概念
- セキュリティレジリエンス:より広義の組織的な回復力。ITだけでなく物理的・人的脅威も含む概念。
- ゼロトラスト:あらゆる通信やアクセスを信頼せず、常に検証を行うセキュリティの考え方。レジリエンスを支える基盤となる。
- 事業継続計画(BCP):災害や事故発生時に、中核事業を早期に復旧・継続させるための事前計画。サイバー領域に特化したものがサイバーレジリエンスに相当する。