PQC(ぴーきゅーしー)
最終更新:2026/4/25
PQCは、耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography)の略であり、将来的に実用化される量子コンピュータによる解読攻撃に耐性を持つ暗号技術の総称である。
ポイント
従来の暗号技術は量子コンピュータによって解読されるリスクがあるため、PQCは情報セキュリティの根幹を支える重要な技術として注目されている。標準化に向けた国際的な取り組みが進められている。
PQCとは
PQC(Post-Quantum Cryptography)は、量子コンピュータの登場によって脅かされる既存の暗号技術に対抗するための新しい暗号技術の分野です。現在の公開鍵暗号方式(RSA、ECCなど)は、量子コンピュータの持つ特殊な計算能力によって効率的に解読されることが知られています。PQCは、量子コンピュータによる攻撃に耐性を持つアルゴリズムを開発し、安全な通信やデータ保護を実現することを目的としています。
量子コンピュータによる脅威
量子コンピュータは、従来のコンピュータとは異なる原理で動作し、特定の計算問題を非常に高速に解くことができます。その中でも、ショアのアルゴリズムと呼ばれる量子アルゴリズムは、RSA暗号や楕円曲線暗号といった広く利用されている公開鍵暗号を効率的に解読できることが理論的に示されています。量子コンピュータの実用化が進むにつれて、これらの暗号方式の安全性が脅かされるため、PQCの開発が急務となっています。
PQCの主な方式
PQCには、いくつかの異なるアプローチがあります。主な方式としては、以下のものが挙げられます。
- 格子暗号: 数学的な格子問題の困難性を利用する暗号方式。
- 多変数多項式暗号: 多変数多項式を解くことの困難性を利用する暗号方式。
- 符号ベース暗号: 誤り訂正符号の復号問題の困難性を利用する暗号方式。
- ハッシュベース暗号: ハッシュ関数の衝突困難性を利用する暗号方式。
- アイソジェニー暗号: 楕円曲線上のアイソジェニーと呼ばれる写像の計算の困難性を利用する暗号方式。
これらの方式は、それぞれ異なる数学的な問題に基づいているため、量子コンピュータによる攻撃に対する耐性が異なります。現在、米国国立標準技術研究所(NIST)を中心に、これらの方式の標準化に向けた評価が進められています。
PQCの標準化
NISTは、2016年からPQCの標準化プロジェクトを開始し、世界中の研究者から提案されたアルゴリズムを評価してきました。2022年には、最初の標準アルゴリズムとして、格子暗号に基づいたCRYSTALS-Kyberが選定されました。今後も、追加の標準アルゴリズムが選定される予定です。PQCの標準化が進むことで、より安全な情報セキュリティ環境が構築されることが期待されます。