量子もつれ(りょうし もつれ)
最終更新:2026/4/11
2つ以上の量子が互いに相関し、一方の状態を観測すると、もう一方の状態が瞬時に決定される現象。
ポイント
量子力学特有の現象で、古典物理学では説明できない。,量子情報科学、特に量子コンピュータや量子暗号に利用される可能性を持つ。
量子もつれとは
量子もつれ(quantum entanglement)は、量子力学における最も不可思議な現象の一つです。2つ以上の量子(例えば、光子や電子)が互いに強く相関し、それらの量子間の距離に関わらず、一方の量子状態を観測すると、瞬時にもう一方の量子状態が決定されるというものです。この「瞬時」という点が、古典物理学の因果律や局所実在論と矛盾するため、長年にわたり議論の対象となってきました。
量子もつれのメカニズム
量子もつれは、2つの量子が共通の起源を持ち、その状態が重ね合わせの状態にある場合に発生します。重ね合わせとは、量子が複数の状態を同時に持つことができるという量子力学の基本的な概念です。例えば、光子の偏光が水平方向と垂直方向の重ね合わせにある場合、どちらの偏光を持っているか観測するまで確定しません。2つの量子がもつれている場合、一方の光子を観測して水平偏光だと判明すると、もう一方の光子は瞬時に垂直偏光に確定します。これは、2つの光子が事前に「どちらが水平、どちらが垂直」と決めていたわけではなく、観測によって状態が相関的に決定されるという点で、古典的な相関関係とは異なります。
量子もつれの実験的検証
量子もつれの存在は、アスペの実験(1982年)によって実験的に検証されました。アスペの実験では、もつれた光子ペアを生成し、それぞれの光子を異なる方向に偏光フィルターを通して観測しました。実験結果は、ベルの不等式と呼ばれる古典的な相関関係の限界を超えることを示し、量子もつれが実際に存在することを強く支持しました。
量子もつれの応用
量子もつれは、量子情報科学の分野で重要な役割を果たします。量子コンピュータでは、量子もつれを利用して量子ビット間の情報を共有し、並列計算を行うことで、従来のコンピュータでは解けない問題を解くことが期待されています。また、量子暗号では、量子もつれを利用して盗聴を検知できる安全な通信を実現することができます。その他、量子テレポーテーションや量子センシングなど、様々な応用が研究されています。
量子もつれに関する議論
量子もつれは、アインシュタインによって「幽霊のような遠隔作用」と批判されました。アインシュタインは、量子もつれが局所実在論に反すると考え、量子力学は不完全であると主張しました。しかし、その後の実験結果は、量子もつれが実際に存在することを示しており、アインシュタインの批判は否定されました。現在では、量子もつれは量子力学の基本的な特徴として広く受け入れられています。