ストア散乱スペクトル(すとあさんらんすぺくとる)
最終更新:2026/4/23
ストア散乱スペクトルは、固体表面からのイオンのエネルギーと角度の関係を示すグラフであり、表面組成分析に用いられる。
ポイント
このスペクトルは、イオンの種類やエネルギー、表面の原子の種類や結合状態に関する情報を提供する。表面分析における重要な手法の一つである。
ストア散乱スペクトルの概要
ストア散乱スペクトル(STORA: Scattering of ions from surfaces with time-of-flight analysis)は、固体表面にイオンビームを照射し、散乱されたイオンを飛行時間分析法(TOF-SIMS)を用いて質量分析することで、表面の元素組成や化学状態を分析する手法である。このスペクトルは、イオンのエネルギーと散乱角度の関係を示すもので、表面の原子の種類や結合状態、表面構造に関する情報を含んでいる。
原理
イオンビームが固体表面に衝突すると、入射イオンと表面原子との間でエネルギー交換が起こり、散乱イオンが発生する。散乱イオンのエネルギーは、入射イオンのエネルギー、散乱角度、表面原子の質量などによって変化する。ストア散乱スペクトルは、この散乱イオンのエネルギーを測定し、その分布をグラフ化したものである。飛行時間分析法を用いることで、質量とエネルギーを同時に測定することが可能となる。
測定方法
ストア散乱スペクトルの測定には、通常、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF-SIMS)が用いられる。TOF-SIMSでは、パルス状のイオンビームを固体表面に照射し、散乱イオンを飛行管を通して検出する。飛行管の長さとイオンの飛行時間を測定することで、イオンの質量を決定することができる。また、イオンのエネルギーは、飛行時間とイオンの質量から計算することができる。
応用例
ストア散乱スペクトルは、以下の様な分野で応用されている。
- 材料科学: 薄膜の組成分析、界面の解析、表面改質効果の評価
- 半導体: 不純物分布の測定、デバイスの信頼性評価
- 生物学: 生体分子の表面分析、細胞膜の組成解析
- 環境科学: 大気汚染物質の分析、土壌汚染の評価
注意点
ストア散乱スペクトルの解釈には、表面の原子の種類や結合状態、イオンビームのエネルギーや角度などの情報を考慮する必要がある。また、測定条件によってスペクトルの形状が変化するため、適切な測定条件を選択することが重要である。