ワーキングメモリ理論(わーきんぐめもりりろん)
最終更新:2026/4/25
ワーキングメモリ理論は、情報を一時的に保持し操作する認知システムに関する理論である。
別名・同義語 短期記憶システム作業記憶
ポイント
この理論は、短期記憶を単なる情報の貯蔵庫ではなく、認知活動を支える能動的なシステムとして捉える。注意、集中、意思決定など、様々な認知機能に関与する。
概要
ワーキングメモリ理論は、アラン・バッドリーとグレッグ・ヒッチによって提唱された。従来の短期記憶の概念を拡張し、情報を一時的に保持するだけでなく、その情報を操作・加工する能力に着目した。この理論は、認知心理学、神経科学、教育学など、幅広い分野に影響を与えている。
モデル
- 中心実行系 (Central Executive): 注意の制御、情報の選択、意思決定など、ワーキングメモリ全体の活動を監督する。
- 音声ループ (Phonological Loop): 言語情報を保持し、リハーサルによって維持する。内語(心の中で繰り返す)と音声記憶(実際に聞いた音を記憶する)の2つのサブシステムからなる。
- 視空間素描板 (Visuospatial Sketchpad): 視覚的・空間的な情報を保持し、操作する。視覚的なイメージの生成や空間的な関係の把握に関与する。
- エピソードバッファ (Episodic Buffer): 音声ループ、視空間素描板、長期記憶からの情報を統合し、一貫したエピソードとして保持する。比較的新しく提唱された要素である。
ワーキングメモリの容量
ジョージ・ミラーの「マジカルナンバー7±2」で知られるように、ワーキングメモリの容量は限られている。しかし、チャンキング(情報を意味のあるまとまりに分割する)などの戦略を用いることで、保持できる情報の量を増やすことができる。
応用
ワーキングメモリ理論は、学習、記憶、問題解決など、様々な認知機能の理解に役立つ。また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの認知機能障害の理解や、教育現場での効果的な学習方法の開発にも応用されている。