義務論(ぎむろん)
最終更新:2026/4/19
義務論とは、行為の結果ではなく、行為自体の道徳的義務に基づいて行為の正当性を判断する倫理学の立場である。
ポイント
義務論は、帰結主義とは対照的に、行為の結果がどうであれ、正しいとされる義務を果たすことを重視する。カント倫理学が代表的である。
義務論とは
義務論(ぎむろん)は、倫理学における主要な立場の一つであり、行為の道徳的価値を、その行為の結果ではなく、行為自体の性質や、行為を伴う義務によって判断する理論である。行為の結果が良好であっても、義務に反する行為は道徳的に誤りであると見なされる。
義務論の歴史的背景
義務論の思想は古代ギリシャに遡る。古代ギリシャの哲学者たちは、普遍的な道徳法則や義務の存在を主張し、それに基づいて人間の行為を評価しようとした。しかし、義務論が体系的に展開されたのは、18世紀のイマヌエル・カントによってである。
カント倫理学
カントは、道徳法則を「定言命法」として捉え、理性に基づいて普遍的に妥当する義務を重視した。カント倫理学における義務は、自律的な意志に基づいて生じるものであり、外部からの強制や欲望によって左右されるべきではない。カントは、人間を単なる手段としてではなく、常に目的として扱うことを義務とした。
義務論の他の形態
義務論は、カント倫理学以外にも様々な形態が存在する。例えば、神の命令に基づいて義務を定める神学的義務論や、自然法に基づいて義務を定める自然法義務論などがある。これらの義務論は、それぞれ異なる根拠に基づいて義務を正当化する。
義務論の批判
義務論は、その厳格さや柔軟性の欠如から批判されることもある。例えば、義務が衝突する場合や、例外的な状況において、義務論は適切な判断を下せないことがある。また、義務論は、行為の結果を無視するため、現実的な問題解決に役立たないという批判もある。
義務論と帰結主義
義務論は、行為の結果を重視する帰結主義と対照的な立場である。帰結主義は、行為の結果が最大多数の最大幸福をもたらすかどうかによって行為の正当性を判断する。一方、義務論は、行為の結果に関わらず、義務を果たすことを重視する。これらの二つの立場は、倫理学における主要な対立軸を形成している。