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クリスパー・キャス9(くりすぱーきゃすきゅう)

最終更新:2026/4/19

クリスパー・キャス9は、DNAの特定の配列を正確に編集できるゲノム編集技術である。

別名・同義語 ゲノム編集遺伝子編集

ポイント

この技術は、遺伝子治療や育種など、幅広い分野での応用が期待されている。細菌が持つ免疫システムを応用して開発された。

概要

クリスパー・キャス9(CRISPR-Cas9)は、ゲノム編集技術の一種であり、DNAの特定の場所を切断し、遺伝子を改変することを可能にする。CRISPRは「Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats」の略で、細菌や古細菌がウイルスなどの外来遺伝子から自身を守るために獲得した免疫システムに由来する。Cas9は、CRISPRシステムにおいてDNAを切断する役割を担うタンパク質である。

仕組み

クリスパー・キャス9システムは、主に以下の2つの要素で構成される。

  1. ガイドRNA (gRNA): 標的とするDNA配列を認識し、Cas9タンパク質をその場所に誘導する役割を果たす。約20塩基対の配列を持ち、標的とするDNA配列と相補的に結合する。
  2. Cas9タンパク質: DNAを切断する酵素であり、gRNAの誘導に従って標的DNA配列を切断する。

gRNAが標的DNA配列に結合すると、Cas9タンパク質がその場所でDNAを切断する。細胞は、この切断されたDNAを修復しようとするが、その際にエラーが生じることがあり、遺伝子が改変される。この修復過程を利用して、特定の遺伝子をノックアウト(機能を失わせる)したり、新しい遺伝子を挿入したりすることが可能となる。

歴史

クリスパー・キャス9システムは、2012年にジェニファー・ダウドナとエマニュエル・シャルパンティエによって、細菌の免疫システムを応用したゲノム編集技術として報告された。その後、この技術は急速に発展し、様々な生物のゲノム編集に利用されるようになった。2020年には、ジェニファー・ダウドナとエマニュエル・シャルパンティエが、この業績によりノーベル化学賞を受賞した。

応用

クリスパー・キャス9技術は、以下の分野での応用が期待されている。

  • 遺伝子治療: 遺伝性疾患の治療
  • 育種: 作物の品種改良、家畜の改良
  • 創薬: 新薬の開発
  • 基礎研究: 遺伝子の機能解明

倫理的な課題

クリスパー・キャス9技術は、非常に強力なゲノム編集能力を持つため、倫理的な課題も存在する。特に、ヒトの生殖細胞系列(卵子や精子)のゲノムを編集した場合、その影響は次世代に受け継がれるため、慎重な議論が必要である。

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