アファーマティブ・アクション(あふぁーまてぃぶあくしょん)
əˈfɜːrmətɪv ˈækʃən
最終更新:2026/4/12
過去の差別を是正するため、人種や性別等を基準に雇用の機会や教育の場で優先的な措置を講じる積極的差別是正措置のこと。米国の公民権運動などを背景に普及した。
ポイント
形式的な機会均等ではなく、実質的な平等を実現するために、歴史的に不利益を被ってきた集団を意図的に優遇する政策です。
概要
アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)とは、社会的に不利な立場に置かれてきた人種、民族、女性などのグループに対し、雇用、教育、入札などの場面で優遇措置を講じる政策を指します。表面的な「機会の平等」を保証するだけでは、過去の歴史的・構造的な差別による格差を解消できないという認識に基づいています。
この考え方は、出発点が異なる者同士に同じスタートラインを与えるだけでは不十分であり、累積的な不利益を考慮した「結果の平等」に近い環境作りが必要であるという論理に基づいています。公的機関や企業が主体となって数値目標やクオータ制を設定することが一般的ですが、その公平性を巡っては激しい議論が続いています。
主な特徴・機能
- 対象集団に対する採用や昇進、入学試験での優先的な枠組みの設定。
- 多様性の確保による組織のイノベーション促進と社会的公平性の実現。
- 個人の能力評価と集団への配慮のバランス調整。
- 構造的な格差を是正するための暫定的な法的介入。
歴史・背景
本用語は1961年、ジョン・F・ケネディ大統領が発した大統領令10925号で初めて公式に使用されました。当初は政府契約企業に対し、人種や信条に関わらず差別をしないよう求める文脈でしたが、1960年代後半から1970年代にかけて、人種差別を積極的に是正するための「結果の重視」へシフトしました。米国では最高裁判所を舞台に、大学入試における人種考慮の是非を問う裁判が長年続き、2023年には人種を単独の基準とする選抜が憲法違反であるとの判断が下されるなど、制度の再検討が進んでいます。
社会的影響・応用事例
- 米国の大学入学選抜:黒人やヒスパニック系学生に対し、多様性確保の観点から入試で有利に考慮する措置。
- 企業の採用クオータ制:管理職候補において一定割合以上の女性を採用・登用することを義務付ける制度。
- 公共事業の入札:社会的弱者が経営する企業に対し、政府の調達案件で優先的に発注を行う取り組み。
関連概念
- ポジティブ・アクション:主に欧州や日本で用いられる用語で、事実上の格差を解消するための暫定的な特別措置を指す。
- 逆差別:マイノリティを優遇することで、マジョリティ側が本来得られたはずの機会を奪われるという批判的言説。
- 多様性(ダイバーシティ):組織が異なる属性を持つ人材を受け入れることで、組織全体の創造性や競争力を高めるという概念。
また、こうした措置が特定の属性を持つ層に対する「逆差別」にあたるとする批判も根強く、米国では2023年の最高裁判決を経て、人種を直接的な基準とするのではなく、個人の経験や経済的背景など他の要素を考慮する新しいアプローチへの転換が求められています。
管理職候補において一定割合以上の女性を採用・登用する取り組みなどが挙げられます。