ドーナツ経済学(どうなつけいざいがく)
最終更新:2026/4/25
ドーナツ経済学は、社会の基盤となる人々のニーズを満たしつつ、地球の環境的限界を超えない経済システムを構築することを目的とする経済思想である。
ポイント
オックスフォード大学のケイト・ラワース教授が提唱した概念で、持続可能な開発目標(SDGs)達成の指針としても注目されている。経済成長至上主義からの脱却を目指す。
概要
ドーナツ経済学は、2017年にケイト・ラワース教授が発表した著書『ドーナツ経済学:7つの方法で世界を変える新しい経済理論』で提唱された経済思想である。従来の経済学が重視してきたGDP成長などの指標ではなく、人々のニーズを満たす「社会の基盤」と、地球の環境的限界という2つの境界線(ドーナツの輪の内側と外側)の間に位置する「安全で公正な運営空間」を目指す。
ドーナツの図
この経済学の中心となる概念を視覚的に表現したのが「ドーナツの図」である。ドーナツの輪の内側は、食料、水、健康、教育、収入、平和、政治的自由などの人々の基本的なニーズが満たされていない状態を示し、外側は、気候変動、海洋酸性化、生物多様性の損失、土地利用の変化、化学物質汚染、オゾン層破壊、窒素とリンの負荷などの地球の環境的限界を超えている状態を示す。ドーナツの輪の間の領域が、持続可能な経済活動が行われるべき空間と定義される。
従来の経済学との違い
従来の経済学は、経済成長を最優先とし、市場原理に委ねることで効率的な資源配分が実現すると考えてきた。しかし、ドーナツ経済学は、経済成長が必ずしも人々の幸福や環境の保全に繋がるとは限らないことを指摘する。また、市場原理だけでは、格差の拡大や環境破壊などの問題に対処できないと批判する。
実践に向けた取り組み
ドーナツ経済学の考え方に基づき、アムステルダム市やブリュッセル市などの都市が、地域経済の再構築に取り組んでいる。これらの都市では、ドーナツ経済学の原則を参考に、地域資源の活用、循環型経済の推進、社会的企業の育成などの政策を実施している。
批判と課題
ドーナツ経済学は、その革新的な考え方から注目を集めている一方で、いくつかの批判や課題も存在する。例えば、具体的な政策の実施方法や、経済成長との両立の難しさなどが挙げられる。また、ドーナツの輪の境界線をどのように設定するかという問題も議論の対象となっている。