制度派経済学(せいどはけいざいがく)
最終更新:2026/4/19
制度派経済学は、経済活動を分析する際に、制度や社会規範、組織の役割を重視する経済学の学派である。
ポイント
新制度派経済学と伝統的な制度派経済学があり、それぞれアプローチが異なる。伝統派は、経済学以外の社会科学との統合を重視する。
概要
制度派経済学は、古典派経済学や新古典派経済学が前提とする「人間は合理的に行動する」という仮定を批判し、人間の行動は制度や社会規範、組織によって制約され、影響を受けると主張する。経済現象を理解するためには、単に価格メカニズムや市場の均衡を分析するだけでなく、制度の構造や変化、そしてそれが経済活動に与える影響を考慮する必要があるという考え方に基づいている。
歴史的背景
制度派経済学の起源は、19世紀後半のドイツ歴史学派に遡る。ヴィルヘルム・ロシュシェルやグスタフ・シュモラーらは、経済現象を歴史的・社会的な文脈の中で理解しようと試みた。20世紀初頭には、アメリカでソーシャル・イノベーションの概念を提唱したトルステイン・ヴェブレンや、企業を分析対象としたジョン・R・コモンズらが活躍した。第二次世界大戦後、制度派経済学は一時衰退したが、1980年代以降、新制度派経済学として復興した。
新制度派経済学
新制度派経済学は、ダグラス・ノース、オリバー・ウィリアムソン、エリノア・オストロムらによって発展させられた。彼らは、制度を「ゲームのルール」と定義し、取引費用、情報の非対称性、財産権などの概念を用いて、制度が経済活動に与える影響を分析した。新制度派経済学は、経済学だけでなく、政治学、法学、社会学など、幅広い分野に影響を与えている。
伝統的な制度派経済学
伝統的な制度派経済学は、カール・ポランニーやジョン・ケインズの影響を受け、経済学以外の社会科学との統合を重視する。彼らは、市場経済は社会的な埋め込み(embeddedness)の中で機能すると主張し、経済活動は常に社会的な価値観や規範によって制約されると考える。
批判
制度派経済学は、その分析の複雑さや、定量的な分析が困難であるという批判もある。また、制度の定義や測定方法が曖昧であるという指摘もある。