取引費用理論(とりひきひようりろん)
最終更新:2026/4/25
取引費用理論は、市場における取引の際に発生する費用を分析し、組織の形態や経済活動を説明する経済学の理論である。
別名・同義語 コース理論ニュー・インスティテューショナル・エコノミクス
ポイント
本理論は、企業間の契約交渉や履行監視、機会費用など、価格メカニズムだけでは説明できない取引コストに着目する。組織形態の選択や垂直統合の是非を判断する上で重要な視点を提供する。
概要
取引費用理論は、ロナルド・コースによって1937年の論文「企業の性質」で提唱された。従来の経済学では、市場は効率的に資源配分を行うと仮定されていたが、コースは、市場における取引には、情報収集、交渉、契約締結、履行監視、紛争解決など、様々な費用が発生することを指摘した。これらの費用を「取引費用」と呼び、取引費用を最小化するように組織形態が選択されると主張した。
取引費用の種類
取引費用は、大きく分けて以下の3種類に分類される。
- 探索費用: 適切な取引相手を探すために必要な費用。
- 交渉費用: 取引条件について交渉するために必要な費用。
- 監視・履行費用: 契約が適切に履行されているか監視し、履行を確保するために必要な費用。
組織形態への影響
取引費用理論は、組織形態の選択に大きな影響を与える。取引費用が高い場合、企業は自社内で取引を行う(垂直統合)か、長期的な契約関係を構築することで取引費用を削減しようとする。一方、取引費用が低い場合、企業は市場で取引を行う方が効率的である。
応用分野
取引費用理論は、経営学、組織論、法学など、様々な分野に応用されている。例えば、フランチャイズ契約、ライセンス契約、合弁事業などの組織形態を分析する際に、取引費用理論は有用なフレームワークを提供する。また、企業統治や契約法などの分野においても、取引費用理論は重要な役割を果たしている。
近年の動向
近年では、取引費用理論を拡張し、不確実性や複雑性などの要素を考慮した研究も進められている。また、行動経済学の知見を取り入れ、人間の認知バイアスや感情が取引費用に与える影響を分析する研究も行われている。