国家イノベーションシステム(こっかいのべーしょんしすてむ)
最終更新:2026/4/25
国家イノベーションシステムは、企業、大学、政府機関などの多様な主体が相互作用し、技術革新を生み出すための組織的枠組みである。
別名・同義語 イノベーションシステム技術イノベーションシステム
ポイント
このシステムは、知識創造、技術開発、そしてその成果の普及を通じて、経済成長と社会発展を促進することを目的とする。国際競争力の源泉として重要視されている。
国家イノベーションシステムの概要
国家イノベーションシステム(National Innovation System: NIS)は、1980年代後半から1990年代にかけて、経済学、科学技術政策研究の分野で注目を集めた概念である。ベンジャミン・ネルソンとリチャード・R・ネルソンによって提唱され、技術革新を促進する上で、単なる技術開発だけでなく、それを支える社会経済的なシステム全体が重要であることを強調した。
国家イノベーションシステムの構成要素
NISは、以下の主要な構成要素から成り立っている。
- 企業: 新技術の開発と商業化を担う主体。
- 大学・研究機関: 基礎研究や応用研究を行い、知識創造の源泉となる。
- 政府機関: 研究開発への資金提供、知的財産権の保護、規制緩和などを通じて、イノベーションを促進する。
- 金融機関: イノベーション活動への資金供給を行う。
- 中間組織: 企業と大学・研究機関との連携を促進する。
- 人材: 高度な知識とスキルを持つ人材の育成と確保。
これらの要素が相互に連携し、知識の創造、技術の開発、そしてその成果の普及という一連の流れを形成する。
国家イノベーションシステムの類型
NISは、その特徴に応じていくつかの類型に分類される。
- 国家主導型: 政府が中心となってイノベーションを推進する。
- 市場主導型: 企業の自主的な活動がイノベーションの原動力となる。
- 大学主導型: 大学や研究機関がイノベーションの重要な役割を担う。
それぞれの類型は、国の歴史的背景、経済構造、政治体制などによって異なる。
日本における国家イノベーションシステム
日本においては、経済産業省が中心となって、NISの構築に取り組んできた。産学官連携の強化、研究開発投資の拡大、知的財産権の保護などが主な政策課題となっている。しかし、大学発ベンチャーの少なさ、リスクマネジメントの弱さなど、課題も多く存在する。
参考文献
- ネルソン、リチャード・R. (1993). National Innovation Systems: A Comparative Study. Oxford University Press.
- Freeman, C. (1995). The ‘National System of Innovation’ in Historical Perspective. Cambridge Journal of Economics, 19(1), 5–24.