費用便益分析(ひようべんえきぶんせき)
最終更新:2026/4/25
費用便益分析とは、ある政策や事業の費用と便益を貨幣価値で評価し、その費用便益比を比較することで、社会的効率性を評価する手法である。
ポイント
費用便益分析は、公共事業の選定や政策評価において広く用いられ、資源配分の最適化に貢献する。費用だけでなく、環境への影響なども考慮される。
費用便益分析の概要
費用便益分析(Cost-Benefit Analysis: CBA)は、ある事業や政策の経済的効率性を評価するための分析手法です。その目的は、事業によって生じるすべての費用と便益を貨幣価値で測定し、費用便益比(B/C比)を算出することによって、事業の社会的妥当性を判断することにあります。B/C比が1を超える場合、便益が費用を上回り、事業は経済的に効率的であると判断されます。
費用と便益の範囲
費用には、建設費、運営費、維持費などの直接的な費用だけでなく、環境への影響や機会費用などの間接的な費用も含まれます。便益には、事業によって得られる直接的な利益(例えば、交通時間の短縮、生産性の向上)だけでなく、間接的な利益(例えば、地域経済の活性化、環境改善)も含まれます。これらの費用と便益を貨幣価値で評価するためには、市場価格が存在しないもの(例えば、環境改善、人命の価値)については、様々な評価手法(例えば、条件付き評価法、示好法)を用いる必要があります。
費用便益分析の歴史
費用便益分析の起源は、19世紀のフランスの土木技師ジュール・デュプイに遡ります。デュプイは、運河建設事業の経済的効率性を評価するために、費用と便益を比較する手法を考案しました。その後、20世紀に入り、アメリカで公共事業の評価手法として広く用いられるようになりました。日本では、1960年代から公共事業の評価に導入され、現在では様々な政策評価に活用されています。
費用便益分析の課題
費用便益分析は、客観的な評価手法として広く用いられていますが、いくつかの課題も存在します。例えば、費用と便益の貨幣価値評価は、主観的な要素を含む場合があり、評価結果に影響を与える可能性があります。また、将来の費用と便益を予測することは困難であり、予測誤差が評価結果に影響を与える可能性があります。さらに、費用便益分析は、経済的効率性のみを評価するため、公平性や倫理的な側面を考慮することができません。
費用便益分析の応用
費用便益分析は、公共事業の評価だけでなく、環境政策、医療政策、教育政策など、様々な分野で応用されています。近年では、気候変動対策や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた政策評価にも活用されています。