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エイジズム(えいじずむ)

最終更新:2026/4/12

年齢を根拠に個人や集団へ向けられる偏見や差別的な扱いのこと。高齢者に対するものだけでなく、若年層に向けられる蔑視やステレオタイプも含まれる広義の概念である。

別名・同義語 年齢差別

ポイント

年齢による画一的な評価が個人の尊厳を損ない、社会参画を阻害する構造的問題を指す。多様な年齢層が混在する現代社会において、解消すべき人権課題の一つである。

概要

エイジズム(Ageism)とは、年齢という属性に基づき、特定の個人や集団に対して抱く偏見や差別的な態度、制度的な障壁を指す概である。1969年に老年学者のロバート・バトラーによって提唱された。当初は高齢者に対する差別を指す用語として用いられたが、現在では若年層や中年層に対する年齢に基づくステレオタイプや不当な扱いも含めた広義の用語として定着している。

社会学や心理学視点では、エイジズムは無意識的なものから構造的なものまで多岐にわたる。例えば、高齢者は「頑固で新しい技術に適応できない」といったステレオタイプや、若年層は「未熟で判断能力が低い」といった先入観が、個人の可能性を制限し、社会的な機会の不平等を助長している。このような偏見は、対象者自身の自己肯定感を低下させ、自らの加齢に対する不安(自己充足的予言)を引き起こすことさえある。

主な特徴・機能

  • 年齢による過度な一般化:特定の年齢層に一律の能力や性格を当てはめる認知の歪み。
  • 制度的差別:定年制度や採用年齢制限、保険利用の優先順位など、社会の仕組みに組み込まれた不利益。
  • 自己内面化:差別的な言説を対象者自身が受け入れ、自身の能力を過小評価してしまう心理的反応。
  • 排除と孤立:社会的な対話から特定の年齢層を排除することで、世代間交流を阻害し社会の分断を招く。

歴史・背景

1960年代、医学的知見に基づき高齢者を一律に衰退したものとみなす風潮に対し、ロバート・バトラーが人権観点から「エイジズム」を告発したのが始まりである。その後、少子高齢化が進む欧米諸国において、公衆衛生上の課題としてWHO(世界保健機関)等が本格的な調査を開始した。近年では、インターネットやSNSの普及に伴い、若年層がデジタル世代の基準から高齢者を排除したり、逆に高齢者が若年層の未熟さを執拗に攻撃したりする「世代間対立」の側面も顕在化している。

社会的影響・応用事例

  1. 雇用現場における課題:年齢制限による採用排除や、能力評価ではなく勤続年数のみで判断される硬直的な賃金体系の維持。
  2. 医療現場における対応:高齢者特有の症状を「老化」として見過ごし、適切な治療機会を逸する「医療的エイジズム」。
  3. メディア表現:テレビ番組や広告において、若さや美しさを過度に賛美する一方で、老いをネガティブな記号としてのみ消費する偏った表象。

関連概念

  • ステレオタイプ:ある集団に対して持つ固定化されたイメージや判断のこと。
  • ジェンダーバイアス:性別に基づく固定観念や偏見。エイジズムと交差し、特に高齢女性に対して複合的な差別が生じることがある。
  • 世代間格差:政治的意思決定や社会保障負担において、世代間で利害が対立する状況のこと。

世代間の対立が顕在化している。エイジズムは、特定の年齢層に限った問題ではなく、あらゆる世代において発生しうる多層的な課題である。

世代間対立」などの新たな形態が見られる。

参考リンク

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