気候正義(きこうせいぎ)
最終更新:2026/4/25
気候変動の影響を最も受ける人々が、その負担を不当に負う状況を是正し、公正な気候政策を求める考え方である。
別名・同義語 環境正義気候公平性
ポイント
気候正義は、環境問題と社会正義の交差点に位置し、気候変動対策における公平性と包摂性を重視する。
気候正義の概念
気候正義とは、気候変動が社会経済的に脆弱な立場にある人々、特に発展途上国や先住民族、低所得者層に不均衡な影響を与えるという認識に基づいた概念である。これらの人々は、気候変動による自然災害、食糧不足、水資源の枯渇など、より深刻な影響を受ける傾向があるにもかかわらず、気候変動を引き起こした責任が少ない。気候正義は、このような不公平な状況を是正し、気候変動対策において公平性と包摂性を確保することを目的とする。
気候正義の歴史的背景
気候正義の概念は、1980年代後半から1990年代にかけて、環境正義運動の中で発展してきた。環境正義運動は、アメリカ合衆国において、有色人種や低所得者層のコミュニティが、有害な廃棄物処理施設や汚染源の近くに立地しているという不公平な状況に抗議する中で生まれた。この運動は、環境問題が単なる環境問題ではなく、社会正義の問題でもあるという認識を広め、気候変動問題においても同様の視点が取り入れられるようになった。
気候正義の主要な論点
気候正義の主要な論点には、以下のものが挙げられる。
- 緩和策の公平性: 温室効果ガス排出削減策が、低所得者層や脆弱なコミュニティに不均衡な負担をかけないようにすること。
- 適応策の公平性: 気候変動の影響への適応策が、最も脆弱な立場にある人々を優先的に保護するようにすること。
- 損失と損害: 気候変動によって既に発生している損失と損害について、先進国が責任を負い、途上国への補償を行うこと。
- 意思決定への参加: 気候変動に関する意思決定プロセスに、脆弱なコミュニティや市民社会の代表者が参加できるようにすること。
気候正義と国際的な取り組み
気候正義の概念は、国際的な気候変動交渉においても重要なテーマとなっている。パリ協定では、気候変動対策における公平性と包摂性の重要性が強調されており、途上国への資金援助や技術移転などが盛り込まれている。しかし、これらの取り組みは十分ではなく、気候正義の実現に向けて、さらなる努力が必要とされている。