ヘリウムグリッド(へりうむぐりっど)
最終更新:2026/4/20
ヘリウムグリッドは、核融合炉の燃料であるトリチウムを生成・回収するための自己増殖型ブランケットの一種である。
ポイント
ヘリウムグリッドは、液体リチウムとセラミック材料を組み合わせた構造を持ち、中性子との反応によりトリチウムを生成する。
ヘリウムグリッドの概要
ヘリウムグリッドは、核融合炉におけるトリチウムの自己増殖を目的としたブランケット設計の一つである。トリチウムは、重水素-トリチウム(D-T)核融合反応の燃料として不可欠であり、自然界には極めて少量しか存在しないため、核融合炉内で生成する必要がある。ヘリウムグリッドは、液体リチウムとセラミック材料(主にベリリウム化合物)を組み合わせることで、高いトリチウム増殖性能を実現する。
ヘリウムグリッドの構造と原理
ヘリウムグリッドは、多数の細いチャネル(グリッド)の中に液体リチウムを流す構造を持つ。核融合反応で発生した高速中性子は、ブランケット内のセラミック材料に吸収され、ベリリウム9と中性子の核反応((n,2n)反応)によりトリチウムが生成される。生成されたトリチウムは、液体リチウムに溶解し、炉心から回収される。液体リチウムは、高い熱伝達性とトリチウム溶解度を持つため、効率的なトリチウム回収を可能にする。
ヘリウムグリッドの利点と課題
ヘリウムグリッドの利点としては、高いトリチウム増殖性能、比較的低い運転温度、構造材料の選択肢の広さなどが挙げられる。一方、課題としては、液体リチウムの腐食性、磁場との相互作用、トリチウムの透過などが挙げられる。これらの課題を克服するために、材料開発や構造設計に関する研究が進められている。
ヘリウムグリッドの現状と将来展望
ヘリウムグリッドは、国際熱核融合実験炉(ITER)などの大型核融合実験炉におけるブランケット設計の候補の一つとして検討されている。ITERでは、テストブランケットモジュール(TBM)としてヘリウムグリッドが試験され、その性能評価が行われる予定である。将来の核融合発電所においては、ヘリウムグリッドがトリチウムの自己増殖を担う重要な技術となることが期待されている。