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排出量取引(はいしゅつりょうとりひき)

最終更新:2026/4/25

排出量取引は、温室効果ガスの排出量を削減する義務を負う事業者が、余剰分を他の事業者と取引する仕組みである。

別名・同義語 カーボン取引排出権取引

ポイント

排出量取引は、排出削減コストの低い事業者から高い事業者へ排出権を譲渡することで、効率的な排出削減を促す経済的手法である。国際的な気候変動対策の重要な柱の一つとされている。

概要

排出量取引(Emission Trading System, ETS)は、温室効果ガスの排出量を削減するための市場メカニズムの一です。政府が事業者ごとに排出枠を割り当て、排出量が少ない事業者は余った排出枠を、排出量が多い事業者に販売することができます。これにより、排出削減コストが低い事業者から高い事業者へ排出権が移動し、社会全体として効率的な排出削減が実現されます。

歴史

排出量取引の概は、1970年代にアメリカの経済学者であるトーマス・シェリングが提案したものです。しかし、実用化されたのは1990年代後半に、京都議定書における柔軟性措置の一つとして、国際排出量取引(International Emissions Trading, IET)が導入されたことがきっかけです。その後、欧州連合EU)が2005年にEU排出量取引制度(EU ETS)を開始し、世界的に排出量取引の導入が進みました。

制度の種類

排出量取引制度には、大きく分けて以下の2つの種類があります。

  • キャップ・アンド・トレード方式: 政府が排出量の上限(キャップ)を設定し、その範囲内で排出枠を事業者へ割り当てます。事業者は、割り当てられた排出枠内で排出量を抑えるか、余剰の排出枠を他の事業者から購入することで排出量を調整します。
  • ベースライン・アンド・クレジット方式: 事業者の過去の排出量をベースラインとし、その削減量をクレジットとして取引します。この方式は、排出量の上限が設定されていない点がキャップ・アンド・トレード方式と異なります。

日本における排出量取引

日本では、2012年に「温室効果ガス排出量取引制度」が施行されました。この制度は、中小企業向けの「共通排出枠制度」と、大企業向けの「報告・公表制度」から構成されています。2023年4からは、排出量上限規制制度が導入され、より厳格な排出量取引制度へと移行しています。

課題と展望

排出量取引制度は、排出削減の効率化に貢献する一方で、排出枠の適切な設定や制度の透明性確保、場の安定化など、いくつかの課題も抱えています。今後の展望としては、国際的な連携を強化し、より広範な地域で排出量取引制度を導入することで、地球温暖化対策を加速させることが期待されています。

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