熱塩循環(ねつえんじゅんかん)
最終更新:2026/4/25
熱塩循環は、海洋における温度と塩分の差によって生じる密度の違いを利用した大規模な海水の流れである。
別名・同義語 海洋循環大西洋循環
ポイント
地球規模の気候システムに大きな影響を与え、熱を赤道から極へ輸送する役割を担っている。変動は気候変動と関連がある。
熱塩循環の概要
熱塩循環(Thermohaline Circulation)は、地球規模の海洋における海水の大規模な循環システムであり、地球の気候に大きな影響を与えている。この循環は、海水温(Thermo)と塩分濃度(Haline)の差によって生じる密度の違いを利用して駆動される。
熱塩循環のメカニズム
- 高緯度地域での冷却と塩分濃度の上昇: 北極海や南極海などの高緯度地域では、海水が冷却されると密度が増加する。また、海氷が形成される際に塩分が海水中に残されるため、塩分濃度も上昇し、密度がさらに高まる。
- 密度の高い海水の沈降: 密度が高くなった海水は沈み込み、深層海流となる。特に、北大西洋では、暖かく塩分の高い海水が沈み込むことが知られている(北大西洋深層水)。
- 深層海流の移動: 沈み込んだ海水は、深層海流として赤道付近まで移動する。この深層海流は、数百年から数千年という非常に長い時間をかけて移動する。
- 湧き上がりと表層海流: 赤道付近では、深層海流が湧き上がり、表層海流となる。湧き上がった海水は、太陽光によって暖められ、蒸発によって塩分濃度が上昇し、再び高緯度地域へと向かう。
熱塩循環と気候変動
熱塩循環は、地球上の熱の輸送に重要な役割を果たしており、気候変動に大きな影響を与える。熱塩循環が弱まると、高緯度地域への熱の輸送が減少し、気候が寒冷化する可能性がある。近年、地球温暖化の影響により、グリーンランドの氷床融解が進み、北大西洋への淡水の流入が増加している。これにより、北大西洋深層水の形成が抑制され、熱塩循環が弱まるのではないかという懸念が指摘されている。
熱塩循環の研究
熱塩循環の研究は、気候変動の予測や対策を立てる上で非常に重要である。研究者たちは、海洋観測や数値シミュレーションを用いて、熱塩循環のメカニズムや変動を解明しようと努めている。