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システム生物学(しすてむせいぶつがく)

最終更新:2026/4/19

システム生物学は、生物を構成する要素間の複雑な相互作用を全体として理解しようとする学問分野である。

別名・同義語 バイオシステム学システムバイオロジー

ポイント

従来の要素還元主義的なアプローチに対し、生物をシステムとして捉え、動的な相互作用に着目する点が特徴である。ゲノム、プロテオーム、メタボロームなどのオミクスデータを統合的に解析する。

システム生物学とは

システム生物学は、生物を構成する個々の要素(遺伝子、タンパク質、代謝物など)を単独で研究するのではなく、それらの要素が相互作用し、複雑なシステムを形成しているという視点から生物現象を理解しようとする学問分野です。従来の生物学、特に分子生物学生化学は、要素還元主義的なアプローチ、つまり複雑なシステムを構成要素に分解し、それぞれの要素を個別に研究することで全体を理解しようとする手法が主流でした。しかし、システム生物学は、要素間の相互作用やフィードバックループネットワーク構造といったシステム全体の特性に着目することで、より包括的な理解を目指します。

従来の生物学との違い

従来の生物学では、特定の遺伝子やタンパク質の機能を調べることに重点が置かれていました。一方、システム生物学では、遺伝子やタンパク質はネットワークの一部として機能しており、その機能はネットワーク全体の構造や動的な変化に依存すると考えます。例えば、ある遺伝子の発現量が変化した場合、それが他の遺伝子やタンパク質の発現にどのような影響を与えるのか、そしてそれが最終的に細胞の機能や個体の表現型にどのように影響するのかを解析します。

オミクスデータの統合

システム生物学では、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームといった様々な「オミクス」データを統合的に解析することが重要です。これらのオミクスデータは、それぞれ生物の異なるレベルの情報を提供し、それらを組み合わせることで、生物現象をより多角的に理解することができます。例えば、ゲノムデータから遺伝子の構造を解析し、トランスクリプトームデータから遺伝子の発現量を測定し、プロテオームデータからタンパク質の量を測定し、メタボロームデータから代謝物の量を測定することで、細胞の状態を総合的に把握することができます。

数理モデルの活用

システム生物学では、生物現象を数理モデルとして表現し、シミュレーションを行うことがよく行われます。数理モデルを用いることで、複雑なシステムを簡略化し、その挙動を予測したり、実験結果を解釈したりすることができます。例えば、遺伝子ネットワークの数理モデルを作成し、遺伝子の発現量の変化がネットワーク全体にどのように伝播するかをシミュレーションすることができます。

応用分野

システム生物学は、医学、薬学、農学、環境科学など、様々な分野に応用されています。例えば、がん細胞の発生メカニズムを解明したり、新しい薬剤の開発に役立てたり、作物の収量や品質を向上させたり、環境汚染物質の分解メカニズムを解明したりすることができます。

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