電子伝達(光合成)(でんしでんたつこうごうせい)
最終更新:2026/4/21
電子伝達は、光合成において、光エネルギーを利用して電子を伝達し、ATPとNADPHを生成する一連の反応である。
ポイント
電子伝達は、チラコイド膜で行われ、光化学系IIから光化学系Iへと電子が移動することで、プロトン濃度勾配を形成し、ATP合成を駆動する。
電子伝達系の概要
電子伝達系は、光合成生物の細胞内にある葉緑体において、光エネルギーを化学エネルギーに変換する重要なプロセスです。この系は、チラコイド膜に存在する複数のタンパク質複合体と、それらの間を移動する電子伝達体によって構成されています。
光化学系II (PSII)
電子伝達の開始点は、光化学系IIです。PSIIは、光エネルギーを吸収し、水を分解して電子、プロトン(H+)、酸素を生成します。生成された電子は、フェオフィチンと呼ばれる分子に伝達され、その後、プラストキノン(PQ)を介して次の複合体へと移動します。
シトクロムb6f複合体
プラストキノンから電子を受け取ったシトクロムb6f複合体は、電子をさらに伝達する際に、チラコイド内腔にプロトンを輸送します。このプロトン輸送が、チラコイド膜を挟んだプロトン濃度勾配を形成する重要なステップとなります。
光化学系I (PSI)
シトクロムb6f複合体から電子を受け取ったプラストシアニン(PC)は、光化学系Iへと電子を伝達します。PSIも光エネルギーを吸収し、電子を励起させます。励起された電子は、フェレドキシン(Fd)を介してNADPH還元酵素へと伝達され、最終的にNADP+を還元してNADPHを生成します。
ATP合成
チラコイド膜を挟んだプロトン濃度勾配は、ATP合成酵素によって利用され、ADPとリン酸からATPを合成します。このプロセスは、化学浸透と呼ばれ、光合成におけるATP生成の主要なメカニズムです。
電子伝達の重要性
電子伝達系は、光合成におけるエネルギー変換の効率を高め、生命維持に必要なATPとNADPHを供給する上で不可欠な役割を果たしています。