光合成阻害(こうごうせいそがい)
最終更新:2026/4/22
光合成阻害は、植物や藻類、シアノバクテリアなどの光合成系が、光エネルギーの吸収や電子伝達、炭酸固定などの過程で一時的または恒久的に低下する現象である。
別名・同義語 光合成の抑制光阻害
ポイント
光合成阻害は、過剰な光エネルギーや環境ストレスによって引き起こされ、作物の収量低下や生態系への影響が懸念される。植物は様々な保護機構を持つが、それらが破綻すると阻害が生じる。
光合成阻害の概要
光合成阻害は、光合成を行う生物において、光エネルギーの利用効率が低下する現象です。これは、光合成装置である光化学系II(PSII)が特に脆弱であり、様々な環境ストレスによって損傷を受けやすいため起こります。阻害は一時的なものであれば回復することもありますが、重度の損傷は不可逆的となり、植物の成長や生存に深刻な影響を及ぼします。
光合成阻害の原因
光合成阻害の主な原因としては、以下のものが挙げられます。
- 過剰な光エネルギー: 植物が吸収する光エネルギーが光合成の処理能力を超えた場合、クロロフィル分子が励起状態となり、活性酸素種(ROS)を生成します。ROSはPSIIを損傷させ、光合成を阻害します。
- 環境ストレス: 高温、低温、乾燥、塩害、重金属汚染、大気汚染なども光合成阻害を引き起こす可能性があります。これらのストレスは、PSIIの構造を変化させたり、ROSの生成を促進したりすることで、光合成を阻害します。
- 栄養不足: 窒素、マグネシウム、鉄などの栄養素が不足すると、クロロフィルの合成が阻害され、光合成能力が低下します。
- 病害虫: 特定の病原菌や害虫は、植物の光合成器官を損傷させ、光合成を阻害します。
光合成阻害の保護機構
植物は、光合成阻害から自身を守るために、様々な保護機構を備えています。
- 非光化学的クエンチング(NPQ): 過剰な光エネルギーを熱として放出する機構です。カロテノイドなどの色素が重要な役割を果たします。
- 活性酸素種(ROS)の除去: スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やカタラーゼなどの酵素が、ROSを分解し、PSIIへの損傷を防ぎます。
- PSIIの修復サイクル: 損傷したPSIIを修復するサイクルが存在します。このサイクルは、PSIIのタンパク質を分解・再構築することで、機能を回復させます。
光合成阻害と農業
光合成阻害は、作物の収量低下を引き起こすため、農業において重要な問題です。適切な栽培管理や品種改良によって、光合成阻害を軽減し、作物の生産性を向上させることが可能です。