黒死病(くろしいびょう)
最終更新:2026/4/11
14世紀にヨーロッパ・アジアを中心に流行した、ペスト菌による感染症。極めて高い致死率を示した。
別名・同義語 ペスト黒死
ポイント
黒死病は、中世ヨーロッパの人口を大幅に減少させ、社会構造や経済に大きな影響を与えたパンデミックである。ネズミを媒介するノミによって感染が広まったと考えられている。
黒死病の概要
黒死病は、1346年から1353年にかけてヨーロッパ、アジア、北アフリカで猛威を振るったペストのパンデミックを指します。このパンデミックは、ヨーロッパの人口の30%から60%を死に至らしめたと推定されており、中世ヨーロッパの歴史において最も壊滅的な出来事の一つとされています。
原因と感染経路
黒死病の主な原因菌は、鼠疫菌(Yersinia pestis)です。この菌は、主にネズミなどのげっ歯類に寄生し、そのネズミに寄生するノミを介して人に感染します。感染経路は主に以下の3つです。
- 鼠疫型ペスト: 感染したネズミの咬み傷や、ネズミに触れることによって感染します。
- 肺疫型ペスト: 感染者の咳やくしゃみによって空気中に放出された菌を吸い込むことによって感染します。最も感染力が強く、人から人への感染が起こります。
- 敗血症型ペスト: 感染した動物の血液に触れることや、傷口から菌が侵入することによって感染します。
症状
黒死病の症状は、感染経路によって異なります。
- 鼠疫型ペスト: 発熱、悪寒、リンパ節の腫れ(鼠径部、腋窩、首など)が主な症状です。腫れたリンパ節は「ブボ」と呼ばれ、黒死病の名前の由来となっています。
- 肺疫型ペスト: 発熱、咳、呼吸困難、胸痛などが主な症状です。進行が非常に早く、重症化すると呼吸不全で死亡します。
- 敗血症型ペスト: 発熱、悪寒、倦怠感、出血傾向などが主な症状です。ショック状態に陥りやすく、死亡率が非常に高いです。
歴史的背景と影響
黒死病は、中世ヨーロッパの社会に深刻な影響を与えました。人口の激減は、労働力不足を引き起こし、農村経済を混乱させました。また、宗教観や社会秩序にも大きな変化をもたらし、芸術や文学にも暗い影を落としました。黒死病の流行は、ルネサンス期の到来を促したという説もあります。
現代におけるペスト
現代においても、ペストは完全に根絶されたわけではありません。主にアフリカ、アジア、南米などの地域で、まれに発生しています。抗生物質による治療が可能であり、早期発見と適切な治療によって、致死率は大幅に低下しています。