食品ロス(しょくひん ろす)
最終更新:2026/4/11
本来は食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品のこと。流通段階や家庭での廃棄など、サプライチェーンの各段階で発生する社会的・経済的な損失を指す。
ポイント
食品ロスは単なるゴミの問題ではなく、資源の浪費や環境負荷の増大を招く地球規模の課題です。国連の持続可能な開発目標(SDGs)でも重要な解決テーマとして掲げられています。
概要
食品ロスとは、まだ食べられる状態であるにもかかわらず、賞味期限切れや食べ残し、規格外品などを理由に廃棄される食品を指します。国連食糧農業機関(FAO)の定義によれば、食料システムのサプライチェーンにおいて、小売・サービス段階および消費段階で発生する食料の減少と廃棄とされます。先進国においては家庭内での廃棄が多く、途上国では収穫後の輸送や貯蔵技術の未発達による廃棄が主因となるなど、地域によって構造的な差があります。
近年、世界的な人口増加に伴う食料需要の増大と、環境問題への関心の高まりを受け、食品ロス削減は国際的な至上命題となっています。食品の生産・加工・輸送には多大なエネルギーと水資源が費やされており、これらを廃棄することは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を助長し、資源を無駄にすることと同義です。企業・行政・個人の三者が連携した包括的な取り組みが求められています。
主な特徴・機能
- 賞味期限・消費期限の混同による早期廃棄の発生
- 小売店における「3分の1ルール」などの商慣習に伴う流通段階の廃棄
- 外食産業における食べ残しや、調理過程で出る食材の不可食部以外の廃棄
- 家庭での過剰な食材購入や、適切な保存方法の欠如による食材の腐敗
- 廃棄に伴う焼却処理プロセスでのCO2排出と環境負荷の増大
歴史・背景
20世紀後半の高度経済成長期以降、飽食の時代を背景に食品の大量消費が定着しました。日本では2000年代以降、環境保護の文脈から「もったいない」という文化が再評価され、2019年に「食品ロス削減推進法」が施行されました。世界的には2015年に採択された「SDGs」のターゲット12.3において、2030年までに小売・消費段階の食料廃棄を半減させることが目標として掲げられ、各国で法整備や啓発活動が加速しています。
社会的影響・応用事例
- フードバンク活動:企業から提供を受けた余剰食品を、福祉施設や困窮家庭に無償配布する仕組み。生活困窮者支援と廃棄削減を両立する事例として定着しています。
- フードシェアリング・アプリの普及:賞味期限の近い食品を割引販売するサービスや、レストランの余剰食品を安価に提供するプラットフォームの活用が進んでいます。
- ドギーバッグの利用推進:外食時に食べきれなかった料理を持ち帰る文化を広める活動。自治体が容器を配布するなどの支援策も行われています。
関連概念
- 食品廃棄物:食品ロスを含む、食品の製造・流通・消費に伴い発生する廃棄物全般。
- フードバンク:未利用食品を有効活用して必要とする人々に届ける活動を行う非営利団体。
- SDGs ターゲット12.3:持続可能な消費と生産のパターンの確保を目的とした、食品ロス削減に関する国際指標。