ブルーカーボン(ぶるーかーぼん)
最終更新:2026/4/11
藻場やマングローブ林などの海洋生態系が吸収・貯留する炭素のこと。地球温暖化対策の新たな手法として、気候変動への貢献が国際的に期待されている。
別名・同義語 海洋炭素ブルーカーボン・エコシステム
ポイント
海洋生物の光合成によって取り込まれ、海底の土壌等に長期間隔離される炭素を指す。陸上の森林(グリーンカーボン)と並び、カーボンニュートラル実現に向けた重要な吸収源として国際的に注目されている。
概要
ブルーカーボンとは、海洋生態系によって取り込まれ、貯留される炭素を指す用語である。2009年に国連環境計画(UNEP)の報告書『Blue Carbon』で提唱された概念であり、藻場(海草・海藻)、マングローブ林、塩性湿地などが主な吸収源として機能する。
海洋生態系は、陸上の森林と比較して炭素の吸収効率が極めて高いことが特徴である。陸上の植生が短期間で炭素を再放出するのに対し、海域では枯死した植物体が海底に堆積し、有機物として長期間安定的に隔離される。この仕組みは「ブルーカーボン・エコシステム」と呼ばれ、地球温暖化対策の新たなカードとして重視されている。
主な特徴・機能
- 炭素隔離の速さと安定性:海底堆積物として数百年から数千年にわたり炭素を貯蔵し続ける高い隔離能を持つ。
- 多様な生態系サービスの提供:気候変動緩和だけでなく、水質浄化や生物多様性の保全、沿岸の防災機能も兼ね備えている。
- 効率的な土地利用:陸域面積が限定的な島国や沿岸地域にとって、空間効率の高い炭素吸収源となる。
- 持続可能な開発目標(SDGs)への貢献:海洋の健康維持を通じて、14番目の目標「海の豊かさを守ろう」の達成に直結する。
歴史・背景
2009年に国連環境計画(UNEP)が報告書を発表し、世界的に概念が確立された。その後、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の特別報告書においてもブルーカーボンの重要性が言及され、国際的な気候変動交渉の場でも、温室効果ガス吸収源として位置づける議論が進んでいる。日本では、2020年に国土交通省がブルーカーボン・オフセット制度を導入し、企業や自治体が海域の保全活動を通じてカーボンクレジットを取得できる仕組みが整備された。
社会的影響・応用事例
- 横浜市によるブルーカーボン・オフセット:民間企業と連携し、海藻の藻場造成による炭素吸収量をクレジット化し、地域の環境貢献活動として活用している。
- マングローブ植林プロジェクト:東南アジア等で、マングローブの再生を通じて地域住民の生計向上と炭素吸収量の増加を同時に目指す国際的な協力が進んでいる。
- 沿岸地域のカーボンニュートラル宣言:自治体が漁協や企業と協力し、藻場の保全・再生事業を行うことで、地域全体の脱炭素化と水産資源の維持を両立させる取り組みが拡大している。
関連概念
- グリーンカーボン:陸上の森林や植生によって吸収・貯留される炭素を指し、ブルーカーボンと対をなす重要な概念。
- カーボンクレジット:温室効果ガスの削減・吸収量を取引可能な証書として発行する仕組みで、ブルーカーボンの評価に用いられる。
- 海洋酸性化:大気中の二酸化炭素の過剰吸収によって海水のpHが低下する現象。ブルーカーボンはこれを緩和する役割も期待される。