マイクロプラスチック(まいくろぷらすちっく)
最終更新:2026/4/11
環境中に放出された、直径5ミリメートル以下の微細なプラスチック粒子。海洋生態系への蓄積と食物連鎖を通じた人体への影響が懸念されている。
ポイント
プラスチック製品の劣化や破砕により生成される難分解性の汚染物質です。世界中の海洋へ拡散しており、現代における深刻な環境問題として国際的な対策が急務となっています。
概要
マイクロプラスチックとは、製造段階で意図的に小さく作られた「一次マイクロプラスチック」と、大きなプラスチック製品が紫外線や波浪の力で破砕・劣化して生じる「二次マイクロプラスチック」の総称です。これらは非常に軽量で海流に乗って広範囲に拡散する性質があり、北極の氷床から深海に至るまで、地球上のあらゆる環境から検出されています。
海洋に流出したプラスチックは、自然環境下では完全には分解されず、半永久的に微細化し続けます。この過程で環境中の化学物質を吸着する性質を持ち、それを誤食した生物の体内に蓄積されることで、生態系全体に有害な影響を及ぼす可能性が高いと指摘されています。特に、目に見えないレベルの微小な粒子はプランクトンから大型鯨類に至るまで、多様な海洋生物の摂食機会に影響を与えています。
主な特徴・機能
- 微細性:直径5ミリメートル以下というサイズのため、回収が極めて困難である。
- 耐久性・難分解性:プラスチック固有の性質により、自然界で容易には分解されない。
- 化学物質の吸着:疎水性の表面が、周囲の海域に含まれる残留性有機汚染物質などを濃縮する。
- 生体濃縮:食物連鎖の下位から上位へと、汚染物質が効率的に蓄積される経路となる。
歴史・背景
1970年代から海洋調査によってその存在が確認されていましたが、国際的な注目を浴びるようになったのは2000年代以降です。特に2004年に英国のトンプソン博士らが科学誌『サイエンス』で発表した論文が、環境汚染としての深刻さを浮き彫りにしました。以降、G7や国連環境計画(UNEP)を中心にプラスチック汚染対策が議論され、2022年の国連環境総会ではプラスチック汚染を終わらせるための国際条約の策定が合意されるなど、法的拘束力を持つ規制の枠組み作りが進行しています。
社会的影響・応用事例
- 海洋生態系への脅威:誤食による消化管閉塞や、化学物質による内分泌かく乱などが報告されている。
- 人体への潜在的リスク:食塩、飲料水、海産物を通じて人体に摂取されることが確認されており、健康リスクに関する研究が活発化している。
- 規制・回収技術の発展:多くの国でプラスチック製ストローやレジ袋の廃止が進む一方、回収技術としてナノバブルを用いた浮上分離技術などの研究が進められている。
関連概念
- ナノプラスチック:マイクロプラスチックがさらに細分化された、マイクロメートル未満の微小粒子。
- プラスチック汚染:プラスチックごみが自然環境に蓄積し、悪影響を及ぼす現象の総称。
- 循環型経済(サーキュラー・エコノミー):資源の効率的な利用により廃棄物を最小限に抑える経済システムの構築を目指す概念。