PFAS(ぴーふぁす)
最終更新:2026/4/11
炭素とフッ素の結合をもち、撥水・撥油性や熱安定性に優れた有機フッ素化合物の総称。環境中で分解されにくく、生物蓄積性や有害性が懸念されている。
別名・同義語 有機フッ素化合物永遠の化学物質
ポイント
数千種類にも及ぶ人工化学物質群であり、その難分解性と人体への残留性から世界中で規制強化が進んでいる「永遠の化学物質」として知られる。
概要
PFAS(Per- and polyfluoroalkyl substances:ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、炭素とフッ素の結合を基本骨格に持つ有機フッ素化合物の総称です。この結合は極めて強固であり、熱や薬品に対して非常に安定しているという特徴を持ちます。
1940年代頃から工業的に利用され始め、私たちの生活に密着した多様な製品に用いられてきました。しかし、自然界ではほとんど分解されない「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」として知られ、製造・使用の過程で環境中に放出された物質が長期間残留し、地下水汚染や食物連鎖を通じた人体への蓄積が世界的な環境問題となっています。
主な特徴・機能
- 強力な撥水性および撥油性を持ち、汚れが付着しにくい特性がある。
- 熱に対して非常に安定しており、化学反応を起こしにくい。
- 炭素とフッ素の結合が非常に強いため、自然環境下で分解されにくい。
- 生物圏で長期間残留し、血中濃度の上昇など生物蓄積性を示す懸念がある。
歴史・背景
PFASの歴史は20世紀半ばにまで遡ります。米国企業が開発したテフロン(PTFE)などの成功により、フライパンのコーティングや消火剤、衣類の撥水加工など、その利便性から産業界に急速に浸透しました。しかし、2000年代以降、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)などの一部の物質について、発がん性や免疫機能への影響が指摘され始めました。これを受け、2009年のストックホルム条約においてPFOSが規制対象に追加されるなど、国際的な廃絶・制限の動きが加速しています。
社会的影響・応用事例
- 半導体製造:微細な回路を形成するエッチング工程において、PFASを含む薬液が不可欠な役割を果たしている。
- 泡消火剤:石油火災などの燃料火災に対して極めて高い消火能力を発揮し、空港や自衛隊基地などで備蓄・使用されてきた。
- 食品包装・衣類:ピザの箱やアウトドアウェアの耐油・防水加工に用いられてきたが、代替物質への転換が進んでいる。
関連概念
- ストックホルム条約:残留性有機汚染物質(POPs)の廃絶を目的とした国際条約。
- 有機フッ素化合物:炭素とフッ素の結合を持つ化合物の総称で、PFASもこれに含まれる広義の分類。
- 生物蓄積性:生物の体内に物質が取り込まれ、排出されずに濃度が高まっていく性質。