MaaS(ます)
/mɑːz/
最終更新:2026/4/11
ICTを活用し、公共交通機関やタクシー、シェアサイクルなど複数の移動サービスを最適に統合・提供する移動の概念。
別名・同義語 モビリティ・アズ・ア・サービス次世代移動サービス
ポイント
単なる交通手段の連携にとどまらず、出発地から目的地までの移動全体を一元的に管理・予約・決済する「移動のサービス化」を実現する。
概要
MaaS(Mobility as a Service)は、従来の「所有から利用へ」という価値観の変化を背景に、個々の交通手段を個別に利用するのではなく、一つのプラットフォームを介して統合的に利用する新しい移動モデルである。スマートフォンアプリなどを通じ、ルート検索、予約、決済を一括で行うことができる点が最大の特徴である。
この概念は、個人のニーズに応じた最適な移動手段を提供することで、交通渋滞の緩和、公共交通の維持、さらには地域課題の解決に寄与する次世代の交通システムとして世界的に注目されている。都市部における交通混雑の解消や、地方部における交通弱者の支援といった異なる地域課題に対して、柔軟なソリューションを提供することが期待されている。
主な特徴・機能
- マルチモーダルな検索:電車、バス、タクシー、シェアサイクルなど複数の手段を組み合わせた最適な移動ルートの提示。
- 一元的な決済:予約から乗車、運賃の支払いまでを一貫してアプリ内で完結させるワンストップな決済環境。
- パーソナライズ化:個人の移動履歴や嗜好に基づいた最適な移動プランの提案。
- リアルタイム性の確保:交通状況や天候に応じて経路を動的に最適化する仕組み。
歴史・背景
MaaSの概念は、2014年頃にフィンランドのIT起業家サンポ・ヒエタネンらによって提唱された。ヘルシンキ市で実施された「Whim」が世界初の本格的な実装事例とされ、その後、世界各地で実証実験が展開された。日本では2018年頃から国土交通省や経済産業省が中心となり、地域の実情に応じたMaaSモデルの構築と普及促進に向けたプロジェクトが加速している。
社会的影響・応用事例
- 「WILLER MaaS」:各地の公共交通やタクシーと連携し、目的地までの移動を予約・決済できる仕組みを全国で展開している。
- 小田急電鉄「EMot」:鉄道やバスに加え、シェアサイクルや飲食店のクーポンと連動した複合的なサービスを提供し、回遊性の向上を図っている。
- 地方自治体によるオンデマンド交通:過疎地域において、AIが配車を最適化する乗り合いタクシーを導入し、高齢者の移動を支援している。
関連概念
- スマートシティ:都市のインフラをICTで最適化する概念。MaaSはその交通・物流部門の基幹的役割を担う。
- 自動運転:MaaSの究極的な進化形の一つ。車両を自律化することで移動コストを極限まで下げることが期待されている。
- シェアリング・エコノミー:リソースを共有する経済活動。MaaSにおけるシェアサイクルやライドシェアの思想的基盤となっている。